2012年04月12日

すまい方日記・その175


上三之町(古い町並み)の恵比須台屋台蔵の斜向いに建つ版画喫茶「ばれん」

春の高山祭りを目前とした本日10時にリニューアルオープンしました。
 
すまい方日記・その175

天保3年に高山では大火があり、この上三之町もほとんどの建物が焼失しました。

この建物はその直後に建てられたとされており築180年となります。

その間には何度かの改装も行われており、「みせ」の用途が変わり改装されたり

「みせ」であった部分を住居として改装されたりと歴史を刻んできたことが

内装を解体している最中に感じられました。

何人もの職人さんの手により柱や梁は刻まれ、補修された形跡を見て

「ここには以前に階段があったのでは」とか、

「この床板は違う場所にあったものを利用しているのでは」などと

いろいろと見えてくるものがありました。

中でも、蔀(しとみ)と呼ばれる戸締りのために柱間に立て込む3枚から成る横長の板戸は

撤去されることなく保存されており、今回の改装でその蔀をまた利用することになりました。

もともと高山の町家では蔀で戸締りされていましたが、手間が掛かることと明りを得るために

格子に取り替えられることが多くなり、いつしか高山の町並みは格子が特徴とされてきたが

元はと言うと蔀であったと「ばれん」のオーナーに伺いました。

今回の改装による蔀の利用方法は戸締りばかりではなく、冬場の足元への冷気防止にも利用します。

(実際にお店でご覧いただければと思います。オーナーがお見えになれば詳しく伺えるかも(笑))

すまい方日記・その175 

店内は至る所に版画が掲げられています。もちろん販売もされています。

「ばれん」の店内は幾つかのコーナーになっています。

・2枚の大きな版画が掲げられた吹抜のある客席(吹抜の上から撮るアングルが人気のようです)

・談話が楽しめるカウンター客席

・通りを上から眺められる2階の客席(ばれんをよく知る方はこの客席を目的に来店されるようです)

・今回増設した格子越しに通りを行き交う人達を眺められる客席(この客席に蔀が見られます)

すまい方日記・その175 

2階の客席は通な方の人気の場所です。今回は内装には手を加えず以前の雰囲気のままで

長年愛着を持って使用されているテーブルと椅子をメンテナンスしました。

すまい方日記・その175 

版画や民芸品を陳列する棚は新しく造りましたが、他の部分と違和感のないように

色や形に試行錯誤しました。

こればかりではなく、建物の柱や梁を表した壁や天井、それに塗られる塗装や漆喰など

ひとり一人の職人さんが拘ってこの建物の改装は進められてきました。

飛騨建設さんを始めとし、大工さん、左官屋さん、塗装屋さん、設備屋さん、電気屋さん・・・

思い以上に良いものが完成したと思っています、職人の皆さん有難うございました。

上三之町通りの版画喫茶「ばれん」へ是非お立ち寄りください。


設計監理担当 栗本

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