2006年12月27日

すまい方日記・その7

11月某日・平面プラン打ち合わせーリビングー

すまいの中で、いちばん居心地の良さを求められるのが、家族が集まるリビングではないでしょう。
この居心地を見つけることができれば設計は7割方出来上がったようなものですが、なかなか見つけられないんです。ちょっとエラそうなことをいえば、住宅の設計は、工学的な専門知識を身につけ、経験を積んで、建築的な思考を論理的に積み上げることができればある程度のところまではいけるんですが、こと居心地を生み出すことに関しては、そういう勉強はまったく役に立ちません。理論や理屈では成り立たないのが居心地なんですね。現在は平面プランの段階ですから、Mさんにもこんな抽象的な話はしませんが、設計の最終段階では居心地について話ができるようになって、共有することができるかどうかが、設計屋の力量としてあらわれるものと思っています。



打ち合わせのなかでありがたかったのが、Mさんがリビングと中2階の関係をある程度イメージしてくれていたことです。Mさんのほうから中2階にある寝室は狭くなっていいのでリビング、ダイニングとつながった、ワークスペースがほしいといってくれました。これは大賛成です。居心地が見えてきた気分です。その他、囲炉裏は客室兼用を考えると取りやめにして火鉢を置こうとなり、玄関とつながるように床の間の位置を入れ替えるなど、あつらえのイメージができてきました。また、リビング南面にデスクワークもできるカウンターはどうかとなり、検討することになりました。

後日、打ち合わせをふまえて書いた、ラフスケッチです。

屋根の形をこのようにすると、勾配を生かしたゆったりした空間が作れそうです。中2階ともオープンにつなげられます。
リビングの空間をイメージすると

こんな感じで、南面につけてみたカウンターも窮屈な感じにならないか心配でしたが、うまく納まりそうです。
反対側から書いてみると、

中2階のワークスペースがリビング、ダイニングとつながって広がりができてきました。どうもこの中2階のスペースが居心地のポイントになりそうな気配です。なんかいけそうと自己満足をして平面修正にはいりました。

リビングの実例を紹介します。

N邸では南面が隣宅に接近してましたので2階にリビングを計画しました。目の前が隣宅ですので正面の窓は少し高めに設置しプライバシーを確保して、右側に透明屋根付きのサンルームを設けて広がりをつけました。雪の心配もないので結構好評です。

H邸はリビング正面に三角のベンチ付きテラスを設けました。

H邸ではリビングに隣接してモダンな和室を設けています。リビングの床材はパインの無垢材で写真は塗装前の状態です。後日ご主人自身で塗られました。

T邸もリビングに和室が隣接しています。

A邸のリビングの床はタイル張り(床暖房付)です。いかがですか?奥に3畳のウッドデッキテラスがあります。

Y邸はすべて自然素材で仕上げました。密集地でしたのでトップライトで自然光を取り入れています。

次回はダイニングです。

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2006年12月22日

すまい方日記・その6

11月某日・平面プラン打ち合わせ

はたと気がつきました。この日記のペース配分でいくと1ヶ月後には現在に追いついてしまいます。
ゆっくりまわりみちしながら書きます。

ということで、よくどんなとこで仕事してんの?と聞かれます。こんなとこです。

青木です。この日記のM邸を担当しています。振り向いてくれません。

                   栗本です。S邸の模型制作中です。やっぱり振り向いてくれません。


設計室です。                  ちなみに私のデスクです。

   打ち合わせ室です。        サンプル室です。       薪ストーブがあります。



さて、打ち合わせにもどります。前回で基本的なプランは決まりました。この頃になるとお施主さんの考え方も解ってきますし、私の考え方も解ってもらえてきます。コンセンサスがとれて来るんですね。

今回はアプローチ、玄関ででた打ち合わせ内容を紹介します。


いちばんの変更は、車庫の内玄関をキッチン側にもっていこうと言うことになりました。当初はキッチン廻りの収納が少なかったので階段下を収納に使う考えでしたが、ゴミの管理や使い勝手を考えると出入りはこちらからにしよう。収納は車庫をうまく活用しようということになりました。

また、アプローチ、玄関のおもむきは大事にしたいのでじっくり考えましょうということで再提案です。

今回、参考としてみていただいた、私どもで手掛けた実例です。

N邸では敷地の形状から(段差が4Mあります)2階を玄関にして橋でアプローチを構成しています。したがって玄関をはいりますと下りの階段があります。
 
H邸のアプローチはご主人みずから作られました。いい感じですよね。玄関は土間風に仕立てました。

U邸ではバリアフリーでアプローチを構成しています。玄関入りますと、立ち上がりしやすいように作りつけのベンチを設置しました。

N邸は車庫の奥に玄関があります。採光をしっかりとり、モダンスタイルで仕上げました。

T邸は間口がとれませんでしたので、玄関横からアプローチを構成しています。ちょっと窮屈なのですが、玄関入りますと正面に障子戸があります。そこを開けますと中庭が望めるというように、どこかに広がりがもたせられるように考えます。

今秋竣工したH邸では、豪雪地区ですので正面の玄関前に広めの雪払いスペースを設けました。玄関入りますと、ちょっとした腰掛けをつけましておばあさんの語らいスペースにしています。

といった感じで、私はアプローチ、玄関のたたずまいは、すまいの要因としてすごく大切にしています。やっぱり、帰ってきたときにほっとした雰囲気ってほしくないですか?

次回はリビング、ダイニングを書こうと思います。

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2006年12月18日

すまい方日記・その5

11月某日・続平面プラン提案

平面プランの2案目は、立体的な構成をスキップフロアスタイルで展開した案でした。
スキップフロアという言葉はご存じですか?一般に1階から2階へあがる中間に部屋を設けて、半階ずつ部屋を設けながら構成していくもので、敷地が傾斜している場合に有効です。

ちなみにイラストでイメージすると



こんな感じでできそうです。

スキップフロアで思い出すのが、20年ほど前に東京渋谷の東急ハンズに初めて出かけた時です。ご存じの方はご承知のように、この店はスキップフロアスタイルで半階ずつ構成されています。はじめてその空間にでくわした時は、商品構成もあいまってほんとびっくらしました。いままで、吹き抜けを除いて階層は分かれるものと思いこんでいたのが、空間がつなげられるという体験を初めてしたのです。
その体感はずっと残っておりまして、機会があれば提案したものです。

8年前にはS邸でこんな感じで




今年6月に竣工したT邸もこんな感じで



1階リビングから中2階をみると


中2階のダイニングです。左手が1階のリビングになります。


中2階から1階のリビングをのぞむとこんな感じでつながっていきます。


現在工事中のH邸もフロアスタイルは近いものがありますし、基本的に好きなんですね。

話を平面プランに戻します。それで提案したのがこれです。



既設の車庫はあるんですが、どうしても雨の時なんか遠くて不便ですし、せっかくなら車庫を新設して
すまいとつなげた構成ができないものかと考えていくとスキップフロアにたどりついた(つけた?)訳です。アイソメにすると



こんな感じになるんですが、赤で階層を示したように段々になっているとイメージして下さい。

基本的にこの案でいきましょうとご了解をいただき、さあ細部の打ち合わせ、デザインの提案(模型、パース)と続いていくのです。

長くなりました。次回へ・・・

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2006年12月15日

すまい方日記・その4

11月某日・平面プラン提案

現在、この日記を2日置き位にアップしてますが、実際はこの平面プランが出来上がるのに2週間くらいかかったかなあ。順序として、プランを考える前に建物を建てる際のあらゆる法規制のチェックから始まります。ちなみに最初のチェック項目を挙げると(カタくなりますが最後まで読んで下さい)

・建設地    某所
・敷地面積  198.40㎡
・用途地域  第1種低層住居専用地域
・建坪率    40% *敷地面積に対してどのくらいの面積の家を建てられるかを示しています
・容積率    60% *敷地面積に対して各階合計(延床面積)の家を建てられるかを示しています

ちなみにMさんの場合は

・建坪率   198.40㎡X40%=79.36㎡までの建築面積の家が建てられます
・容積率   198.40㎡X60%=119.04㎡までの延床面積の家が建てられます

となります。続けますと

・防火地域・準防火地域  外
・法22条地域  内
・県、市条例地域内
・建物の絶対高さ  10M以内
・外壁後退距離    1M
・道路斜線 適用距離 20M  勾配1.25
・隣地斜線 規制なし
・北側斜線 立ち上がり5M  勾配1.25
・日影制限 軒高>7M または地上階数3以内 平均地盤からの高さ1.5M 4時間~2.5時間
・採光開口面積  床面積の1/7以上
・換気開口面積  床面積の1/20以上   などなど


書く方もあぐんできましたが、さしあたってこのような法規制を前提にプランしていく訳です。

平面プランは2案作成しました。

まず、1案目は



解りますでしょうか。計画地は下のようになっていますんでイメージしていただけるとありがたいです。



現地にて視察していましたら、非常に2階からの景色がいいんです。
それで、リビング、ダイニングなど共有スペースを2階にもっていって、1階に個室と水廻りを構成した案です。年をとってからの上り下りがネックですが、階段をゆったりとって解消できないものかと考えました。子供室は将来のことも考えて、間仕切りを家具で移動可能にしたり、2階ベランダの下を広めのテラスにして活用するなど、いいんじゃないと印象は良くて第一段階突破!といったとこでしょうか。

同時に提出したアイソメ図です。



まだ、デザインまでにはおよんでいませんが、大正時代の洋館の色調イメージで作ってみました。

結構、自分のイメージに近いとMさんもおくさんも言って下さったんですが、結論を先に言いますと
この案はボツになりました。

同時に提案した2案目のほうが良かったみたいで、ということで次回へ・・・  

2006年12月13日

すまい方日記・その3

11月某日・続現地にて打ち合わせ

「さて、どんな家にしたいの?」

といったかたちで話が始まりました。

家の要望をお聞きするときに気を付けていることがあります。私はこんな家にしたいと理路整然とお話されるお客さんはめったにみえません。こんな家にしたいという思いはいくつもあるんだけどなかなか整理して話せない、という方がほとんどです。住宅メーカーでは、最初にアンケートスタイルで要望を聞くそうですが、それも決まり切ったすまいになりそうでイヤなもんですから、うちではやりません。それではじめにお願いするのが、「矛盾したことをどんどんいってください。アレもしたい、コレもしたい。けどアレもいや、コレもいや。と遠慮なく聞かせて下さい。あとはこっちで整理します」といったお願いをすると、徐々に話し始めてくれます。するとアンケートでは解らない、施主のニュアンス(本質)が感じ取れてくるんです。

といった話の中から要望として出てきたのが


・外観や室内のたたずまいは、昔の日本の洋館っぽい感じが良い。かといって外観が木や塗り壁だと
 管理が大変なのでイヤ(でたっ!早速の矛盾)

・室内は自然素材を吟味して提案してほしい。できるだけ化学素材は使わないで。

・部屋数は家族分(3室)と和室が1部屋ほしい。収納はあたりまえだができるだけたくさんほしい。

・リビング、ダイニング、キッチンは明るく、広く、とにかく居心地よくして。かといって、あけっぴろげは  好きじゃない(またでたっ!)

・車庫は、いまあるものを使うけれど、狭いし、ちょっと不便だナ。

・予算はあまりないので贅沢は望まない(結構、贅沢な要望が多いのだが?)

・あとはまかせる。


といって、まかせてくださったお客さんはいままで一人もいないんですが、話の端々から、どんな家を建てたい、住みたい、といったニュアンスは感じ取れてきました。

後日、日本の洋館の資料を見ながらの打ち合わせで、イイ感じとセレクトされたカットです。










室内のイメージはというと









だいたい、イメージのコンセンサスはとれてきたぞ!といいたいのですが、日本の洋館の資料はどれも豪邸ばかりで、イイのはあたりまえ。これを庶民の住まいにイメージを残しながらプランニングする
難題にはたと考え込む。

考え込んだ、最初のプランはどんな?といったところで次回・・・

   

2006年12月11日

すまい方日記・その2

11月某日・現地にて打ち合わせ

建設を計画されているお宅にお邪魔すると、そこは丘陵地に建つ平静な住宅地でした。



中古住宅として購入され、築20年とまだ建て替えるにはちょっともったいないんですが、水回りの傷みがひどく、自分たちの年齢や、子供たちのことを考えると、この時期に思い切って建て直すことを決心したとのことです。

ちなみに家族構成は

・だんなさん (45歳)
・おくさん   (44歳)
・おねえさん (17歳)
・いもうとさん (12歳)
・ペット(レトリバー犬)  の4人+1匹家族です。

なおご家族には、あらかじめブログでの紹介は匿名を条件にご了解をいただいております。






敷地面積は60坪でご覧のように傾斜地に建っていますので、それを利用して半地下スタイルの車庫
があります。お邪魔した当日は霧がたちこめていて、写真も暗ーい感じですが、日当たりも良好な立地です。
さあ、これからご家族に要望をお聞きしましょうということで次回へ・・・  

2006年12月08日

すまい方日記・その1

あらためましてはじめまして、清水です。
これから「すまい方日記」と題して1件の家が出来上がるまでの徒然を記していこうと思います。
建築日記というとどうしても結果が主体となってしまって、その課程のすったもんだを省きがちですが
ここでは主にそのすったもんだを記していこうと思います。どうしても堅く、専門的なブログになるかもしれませんがご勘弁。

それでは次回より先月住宅の設計依頼をいただいたMさんの家を紹介していこうと思います。
よろしくどうぞ。  

2006年12月01日

abu design

●アブデザイン  清水篤
私たちの会社は建築設計から家具・工業デザインそしてグラフィックデザインといろいろな生業を持っています。
日々の暮らしの中で感じたことなど、色々書き綴って行きたいと思っています。
どうぞ、お楽しみください。  

Posted by abu at 15:24Comments(0)TrackBack(0)その他